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中国人の金銭観


市場経済にともなって著しい変化をとげた中国で、昔と今との大きな違いは、間違いなく金銭観である。拝金主義に走っている中国で、もっとも変わったのは国民のお金に対する考え方だ。
昔の中国でもっとも定着していたスローガンは「向前看」(前に目を向けよう)であったが、現在の中国では、発音は同じだが「向銭看」(金に目を向けよう)となり、「前程無量」(出世するのが一番)から「銭程無量」(お金が一番)に変わってしまった。
中国の伝統的な価値観の影響で、長い間お金は不潔なもののように扱われてきた。数千年続いた封建社会は、お金を持っているかどうかではなく、職業によって社会的な地位が決まっていた。士農工商という身分制度によって、商人は金儲けを目的とした人間なので、社会的地位も最下位にとどまってきた。商売で金儲けをしているかぎり、どんなことをしても地位は低く扱われた。儒教では、人間のすべての行動は、ひとたび金に関わると、動機そのものも疑われてしまうと考えられていた。いわばお金は「万悪の元」だったのである。
以前の中国人は、みんな貧乏でお金は無かったが、お金を大事に使ったことを自慢していた。文革時代の中国人は、毛沢東思想より友情を大切にしており、お金の上手な使い道といえば、友情を築くために使うことが一番だと思っていた。とくに独身の人は、給与のほとんどを友達との食事代にあてており、お金を借りてでも友人に贅沢な料理を食べさせることが、その時代の金銭観、友人観であった。

今では中国人みんなが拝金主義になっているが、逆にお金に一番ドライなのは今の子供達である。
最近の中国では「三分の一が三分のニを使う」という言葉があるが、これは一人っ子政策のために子供の数は家族の中で三分の一しか占めていないのに、その子供が使っているお金は世帯収入の三分のニであるという意味である。多くの都会の子供達は、まともな金銭感覚を持っていない。お金に困ったことがないから、お金にも無関心なのである。
ただし、農村では恵まれている子供はまだ少なく、経済的な理由で学校にも行けない子供達は、いぜんとしてその数は多い。

収入や年齢によって中国人のお金の使い道はかなり違ってくるが、それでもいくつかの共通点がある。
中国では、友人や親戚を招待するために使う費用はかなり大きい。中国人は、たとえ貧乏であっても、友人を招待するときにお金をケチることはしない。友達にケチだという印象を与えると、面子を重んじる中国では、かなりのダメージになるからだ。
冠婚葬祭の費用も日本人の想像以上である。人脈重視、人情深い中国の風土ゆえ、中国人は冠婚葬祭での費用を惜しまない。気持ちを表したければ、その気持ちの重みに見合った、お金をかけたお土産を贈るのが常識だ。ある調査会社が武漢の農民を対象に、お土産などの年間贈与費を調べたところ、実に純収入の四分の一を占めていることが明らかになったという。
中国ではビジネスを含むあらゆることを成功させるのは人脈次第だが、その人脈作りには、かなりの投資とコストが必要になる。
また、中国人は日本人以上に教育熱心であり、家族意識が非常に強い中国人は、子供に対する投資はもっとも価値があり、リターンも高いと思われている。

中国人はトランプやマージャン、ビリヤードなど、一見たんなる遊びのようなものでも、金銭的な賭けが加わらないとやる気がでない。しかも驚くほど高額な賭け金でマージャンをやる人も少なくない。人生そのものを賭博としてすべての金銭を賭ける、これも中国人の金銭観の一端である。

ただし、広い中国では各地域によって金銭観に大きな違いがある。

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