
略称:隴(long)
人口:2519万人
面積:45万k㎡
省都:蘭州(lanzhou)
省政府所在地:蘭州市中央広場1号
六大地域分類:西北
甘粛省(かんしゅくしょう)は中国西部の内陸部、黄河の上流地帯にあり、東は陝西省、北東は寧夏回族自治区、西は青海省と新疆ウイグル自治区、北は内蒙古自治区に隣接し、またモンゴル共和国と国境をはさんで隣接する。標高は1,000~3,000m。ウリ科の果物、漢方薬材、毛皮の産地。
歴史
200万年前にはこのあたりに「黄河ステロドン」という古生物が生息していた。5~6千年前には仰韶文化が出現している。春秋戦国時代には秦と西戎の領土に分断されていた。漢代には涼州に属す。唐代には三道が置かれ、宋代には「西夏」と称し、その中で甘州と粛州に分かれていた。現在の「甘粛」という名前はこの2つから採っている。明代には陝西省に属したが、清代に「甘粛省」となる。国境沿いに隴山があるため、略称を「隴」という。
民族と民族の分布
漢民族の人口は2051万5000人で、全省総人口の91.7%を占め、少数民族は185万6000人で、8.3%を占める。代代同省に住み、人口が千人以上に達する少数民族としてはチベット族、トンシャン族、トウ族、満州族、ユグル族、バオアン族、蒙古族、サラ族、カザフ族などがある。
貧困人口:年間53万人の貧困人口の衣食問題がほぼ解決された。
中国共産党14回大会開催以来、貧困地区に投じられた資金は35億元に達し、100余万人が貧困から脱却した。
地形
黄河の上流で、黄土高原、内蒙古高原、青海高原の交差するところに位置し、山地型の高原である。
海抜が高く、ゴビ砂漠が広がり、砂漠化現象が深刻な地域で、西南部には氷河もある。
黄河の西にあり、砂漠と山に挟まれ狭くなっているところが有名な河西回廊。
土地
甘粛省の総面積45万5000平方㌔。耕地面積は353万㌶で、一人当たりは平均2.17ムー(1ムーは15分の1㌶)。草原と森林がそれぞれ1664万㌶と426万㌶である。木材保有量は2億立方㍍。そのほかに耕作可能の荒地、造林可能の荒地と放牧可能の傾斜地がそれぞれ100万㌶、666万㌶と467万㌶もある。
鉱物
甘粛省ではこれまでに各種の採鉱地が約3000カ所発見されており、そのうち役に立つ鉱産物は145種、一定の埋蔵量が確認されているのは94種で、全国で1位を占めているのはニッケル、コバルト、プラチナ、セレン、鋳型用粘土、内装用石材など11種がある。特に開発優位のあるのはニッケル、亜鉛、コバルト、プラチナ、イリジウム、銅、アンチモン、重晶石、マグネサイなど15種である。
生物資源
野生動物が659種、鳥類が441種。そのうちジャイアント・パンダ、金絲ザル、カモシカ、雪ヒョウ、シカ、小ジカ、ジャコウジカ、フタコブラクダなど32種は国の一級保護指定を受けた希少動物である。
甘粛省の野生植物は4000種余りで、うち薬材が951種、全国で2位にある。現在、主にトウキ、ダイオウ、ニンジン、カンゾウ、バイモ、大麻、トチュウ、マンネンタケ、トウチュウカソウなど450種が採取されている。
エネルギー
甘粛省内に水力発電所はすでに29カ所つくられ、そのうち黄河上流の劉家峡、塩鍋峡、八磐峡水力発電所と白竜江にある碧口水力発電所は設備総容量が212.5万㌔ワットである。全省の設備総容量はすでに300万㌔ワットを超え、年間発電量は235億6500万㌔ワット時である。確認されている石炭と石油の埋蔵量はそれぞれ89億2000万トンと6~7億トン。また、風・太陽光エネルギーの開発にも大きな潜在的可能性がある。
航空
蘭州発で、北京、上海、広州、ウルムチなどの大都市と省内の敦煌、酒泉、天水、慶陽への20余りの便が開通している。営業距離数は35700㌔に達した。蘭州空港が正式にオープンした後、蘭州発香港着の便も開通した。貨物輸送量は430㌧㌔、旅客輸送量は10億7900万人㌔に達した。
鉄道
省都蘭州が全国の交通のかなめのひとつである。蘭新線(蘭州―新疆のウルムチ)、包蘭線(包頭―蘭州)、隴海線(連雲港―蘭州)、蘭青線(蘭州―青海)の四つの鉄道幹線がここで合流している。隴海線の宝蘭区間(宝鶏―蘭州)、蘭武区間(蘭州―武漢)がすでに電化している。先程宝中線(宝鶏―中衛)も全線開通した。蘭新線の複線化は1995年5月に全面的に完成した。同省はさまざまな輸送手段による貨物取扱量は752億4300万トン・キロで、前年比52.19%増え、旅客取扱量は31.76%増の239億6400万人・キロに達している。貨物・旅客輸送の面で、鉄道輸送は依然としてメインの手段としての役割を果たし、それぞれ総取扱量の85.43%、65.95%を占めている。