
略称:黔(qian)
人口:3658万人
面積:17.3万k㎡
省都:貴陽(guiyang)
省政府所在地:
六大地域分類:西南
貴州省(きしゅうしょう)は中国南西部の雲南・貴州高原の東部、東経103度37分~109度32分、北緯24度37分~29度1分の間に位置する。北に四川省と重慶市、東に湖南省、南に広西チワン族自治区、西に雲南省と接する。 貴州高原山地が省域の大部分を覆い、東に高く、西に低くなる地形である。 安順市の黄果樹の滝は中国最大の瀑布である。 省南部は少数民族自治州となっており、対外開放が遅れている。
歴史
古代にはこの地に越人や百越が住んでいた。旧石器時代にさかのぼる人類の遺跡が発見されている。この地は中国でも最も貧しい辺境の地であるため、歴史上罪人の流される流刑の地で匪賊が出没する地でもあった。春秋戦国時代には楚、蜀、夜郎など7つの小国家に分かれていた。漢代は荊州と益州に分かれ、宋代に入り貴州という名前が登場する。その後、元では三行中書省、明では貴州布政使司が設置され、清代に貴州省が置かれる。19世紀後半にはアヘンを採るためのけしの栽培地となった時期もあった。
観光
貴州省は中国の開発途上の新興観光地である。珍しい自然の景色、濃厚な少数民族の風物、さんぜんと輝く歴史的文化、快適な気候条件などが、貴州省独特の原始的で、素朴なかつ神秘的な風景の絵巻物を織り上げている。省全体で開発済みの観光地は合計120カ所を超え、その中には、黄果樹、竜宮、織金洞、紅楓湖、茘波樟江、馬嶺河峡谷、赤水十丈洞など国家クラスの景勝地、梵浄山植物園、茂蘭カルスト原生林、赤水原生林と草海鳥類など4つの国家クラス自然保護区、遵義会議開催地の建物、遵義楊粲墓、普定古人類文化遺跡、鎮遠青竜洞、従江増冲鼓楼、畢節大屯イ族土司荘園、大方奢香墓、息烽強制収容所旧跡など8カ所国家クラス文化財保護部門やそれぞれの特色をもつ民族風物あふれる観光村落がたくさんある。
民族と民族の分布
貴州省の総人口は3755万人、そのうち、常住民族は49で、漢族、ミャオ族、プイ族、トン族、トゥチャ族、イ族、コーラオ族、スイ族、回族、ペー族、ヤオ族、チワン族、マオナン族、蒙古族、モーラオ族、チャン族、満州族など17の民族があり、人口は1333.9万人。少数民族は省全体総人口の37.85%を占めている。
鉱物
貴州省は中国の鉱物資源大省の一つで、すでに発見されている鉱産物は110余種。そのうち、埋蔵量の多少が確認されているものは76種ある。42種の鉱産物の埋蔵量は中国で上位10位内にランクされている。1位から3位を占めるものは22種ある。そのうち、石炭、リン、水銀、ボーキサイト、マンガン、アンチモン、金、重晶石、硫化鉄、セメント原料、レンガ原材料およびさまざまな用途のある白雲岩、砂岩、石灰岩などが強みのある資源で、中国で重要な地位を占めている。貴州省の潜在力を持つ各種鉱産物の埋蔵量の経済価値は総計3兆500億元に達し、国内で9位を占め、1人当たりの保有価値は8万7000元で、中国の平均水準を上回り、隣接する省・自治区をはるかに上回り、中国で7位を占めている。
貴州省は「江南(長江以南)の石炭の里」としてその名を馳せ、資源保有量は2419億㌧に達し、そのうち、確認済み埋蔵量は528億㌧で、江南のトップを占め、保有埋蔵量は524億㌧で、中国江南の九つの省・自治区の埋蔵量の総和に相当し、中国で5位を占めている。貴州省は全国で富リン鉱が最も多い省で、埋蔵量は中国埋蔵総量の44%を占め、特に開陽と瓮福のリン鉱が最も有名で、質がよく、埋蔵量が大きな鉱産区がある。貴州省は有名な水銀の産地でもあり、埋蔵量と鉱産量は長年、中国でトップを占め、長期にわたる大量採掘を経ても、保有埋蔵量は相変わらず中国総量の38%を占めている。貴州省はまた国内で工業価値のある金鉱が最初に発見された省であり、確認済み埋蔵量は150㌧、鉱産物探査の展望が明るく、中国のいま一つの新興の金生産基地となることが見込まれている。
生物資源
貴州省は生物資源が豊富で、種類が非常に多い。その中には、野生動物が3800余種もあり、刺梨、キウイを主とするビタミンCに富む果樹、キクラゲ、シイタケを主とする高蛋白質植物および五倍子(漢方薬)を主とするなしめ皮用剤となる植物などがある。薬用植物は3700余種あり、中国の漢方薬品種の80%を占め、中国の四大漢方薬材料産地の一つである。とくに杜仲、天麻、呉萸、石斛、黄連など多くの漢方薬材料でその名を知られている。希少植物は70種あり、その中には、銀杉、キリ、禿杉、ヘゴは内外でもまれなもので、中国の1級保護植物に指定されている。野生動物資源は1000余種もあり、83種が国家保護希少動物に指定され、そのうち、貴州キンシザル、黒葉ザル、華南トラ、オグロヅルなど14種は国家1級保護動物に指定されている。
エネルギー
省全体の降水量が多く、降水率が高く、河川の傾斜度は急で険しく、天然の落差が大きく、水エネルギーの資源は1874万5000KWもあり、中国で6位を占めている。1平方㌔メートル当たりの水力発電資源保有量は160KWで、中国で3位にランクされている。そのうち、開発可能な発電量は1683万3000KWで、中国の発電総量の4.4%を占め、7位にランクされている。炭層の中には採取可能な豊富な石炭層ガスが埋蔵されている。豊富な水エネルギーと石炭の資源によって、貴州省のエネルギー産業には水と石炭を並行して用い、水と火を互いに補足しあう特徴が見られ、これはいっそう貴州省を中国南部の重要なエネルギー基地に築き上げるための堅固な基礎を築くことになった。
航空
貴州省は98年に民間航空はすでに貴陽から、香港、北京、広州、深せん、上海、成都、重慶、昆明、桂林、廈門、西安、海口、長沙、武漢など26の都市に至る直航便を開通した。1995年の旅客輸送量は85~86万人に達した。新築された貴陽竜洞堡空港が1997年5月28日に完成し、オープンした。
鉄道
貴陽市を中心とする黔桂線(貴州=桂林)、川黔線(四川=貴州)、貴昆線(貴州=昆明)、湘黔線(湖南=貴州)の四本の幹線鉄道が貴州省を貫き、営業距離は1468㌔に達している。貴昆線、川黔線、湘黔線は電化改造が完成し、電気機関車の牽引による営業距離は1138㌔に達し、貨物輸送量はこれまでの2倍に増えた。貴州省は国の「第9次5カ年」計画期の鉄道建設の重点である。貴州省を貫く南昆線(南寧-昆明)(貴州省内の区間は227㌔)、中国の東西を貫く通行能力の高い水城=株州の電化複線(貴州省内の区間は596㌔)、地方と中央が合弁で敷設する水城=柏果線、黄桶=織金線が次々と完工した。これらの鉄道の完工によって、南西地区の主要なルートと交通センターとしての貴州省の地位はいっそう高められ、これは貴州に対してばかりでなく、四川、雲南の経済発展に対しても重要な役割を果たしている。