
略称:皖(wan)
人口:6148万人
面積:13.9万k㎡
省都:合肥(hefei)
省政府所在地:合肥市長江路221号
六大地域分類:華中
安徽省(あんきしょう)は中国の南東部に位置し、江蘇、山東、河南、湖北、江西、浙江などの省と境を接し、東経114度25分~119度50分、北緯29度25分~34度40分の間にあり、南北の長さ約570km、東西の長さ約450km、総面積は13.96万k㎡で、国土面積の約1.45%を占める。
「四面楚歌」の舞台となった安徽省には古くから英雄豪傑たちが覇権争いに加わり、古代ロマンの華が開いたところでもある。「陳勝・呉広の乱」を皮切りに以来数々の蜂起があり、「天下は安徽から乱れる」といわれている。農業と林業が発達しており、石炭と鉄鋼は主要な工業となっている。また、手工業も比較的発達している。
歴史
「左伝」(春秋左氏伝)に記述があるようにこの地で結成された余山の会が夏王朝の建国の重要なポイントとなった。春秋時代は呉や楚などの国の領土だった。漢代に3つに分かれ、唐代には三道が置かれた。元代では両行中書州、清の初め1667年に安慶州と徽州の二文字を取って安徽省と名づけられた。
観光
安徽省は中国で観光資源の最も豊かな省の一つで、国家クラス、省クラスのさまざまな観光スポットが290数カ所もある。その中には国家クラス重点景勝地が5カ所、歴史文化都市が3つ、国家クラス重要文化財保護指定を受けた景観地が9カ所、国家クラス自然保護区が3カ所、国家クラス森林公園が23カ所、含まれている。黄山、九華山を中心とする安徽省の皖南観光地区は、山水と人文の景観を兼ね備えたもの。黄山は珍しい松、奇岩怪石、雲の海、温泉で世に知られ、九華山は中国の四大仏教名山の一つである。斉雲山は長江以南の道教の聖地で、太平湖と新安江は、昔から「山水の画廊」といわれてきた。長江と淮河の間には、歴史の中では数百年も前からよく知られている天柱山、宋代の著名な詩人・欧陽修の文章で知られた琅郎山がある。采石礬、敬亭山、桃花潭、五松山、斉山と秋浦河など長江以南の山水は、唐代の詩人・李白が晩年によく行ったところで、詩にまつわる遺跡がたくさんある。それ以外に、小孤山、浮山、巣湖などの景観はそれぞれ特色がある。歴史文化都市の歙県、亳州、寿県は、悠久な文化と古い名所の建築物と伝説によって世に知られている。
民族と民族の分布
安徽省内に住んでいる民族は漢族を主とするが、少数民族は回族のほかに満州族、蒙古族、チワン族など52の少数民族がある。2000年末における安徽省の5986万人の居住人口の中で、漢族の人口は5948.4万人で、99.37%を占め、各少数民族の人口は37.6万人で、0.63%を占めていた。
地形
安徽省の地形は多様性をその特徴とする。淮河と長江が西から東へ流れ、それぞれ省の北部と南部を横断している。淮河の北側は広くて平坦な地形で、華北平原の一部に属する。長江と淮河の間は起伏する山地や丘陵地で、長江の中流・下流は地形が低くて平らな平原であり、長江の南側は主に山地、丘陵が延々と続いている。安徽省内にある大別山、黄山、九華山、天柱山は主要な山脈であり、最高峰の黄山蓮花峰は海抜1860メートルに達する。安徽省は淮北平原、長江-淮河丘陵、皖西大別山区、長江沿いの平原地帯、皖南山間区という五つの自然の区域に分かれている。
気候
安徽省は暖温帯から亜熱帯へ移行する地区に位置し、淮河の北側は暖温帯半湿潤の季節風気候であり、淮河の南側は亜熱帯の湿潤季節風気候である。春、夏、秋、冬の四季がはっきりと分かれ、気候が温暖で、適宜な降雨量に恵まれているのが主な特徴である。年間平均気温は14度から17度で、南から北へ行けばいくほど気温が少しずつ低くなっている。年平均の無霜期は200~250日間。年間平均降水量は770~1800ミリメートルで、主に春と夏に集中する。日照が十分あり、年間平均の日照時間は1800~2500時間。
鉱物
安徽省の鉱物資源は品種が多く、分布が広く、採掘量が大きく、しかも資源の組み合わせがよく、共生の鉱物が多い。こういう特徴は、全国、特に華東地域では際立ったものである。現在、安徽省全域ではすでにさまざまな鉱物約135種類が見つかっており、67種類の鉱物の埋蔵量が確認済みである。そのうち、石炭、鉄、銅、イオウ、リン、みょうばん、セメントの材料となる石灰岩など20数種の鉱物の埋蔵量は全国のベストテンに入っている。現在、石炭埋蔵量(246.54億トン)は全国で7位、鉄鉱埋蔵量(299.9億トン)と銅鉱石埋蔵量(384.9万トン)は、いずれも全国で5位、単硫鉄鉱埋蔵量(5.64億トン)は全国で2位となっている。
水資源
安徽省全体の水資源総量は約680億立方メートルである。安徽省は淮河、長江、新安江という三大水系を抱え、湖がたくさんあり、水域は広い。安徽省内を流れる長江の長さは416キロメートル、淮河の長さは430キロメートル、新安江の主流の長さは240キロメートルに達する。長江水系には湖が多く、比較的大きなものとしては巣湖、竜感湖、南漪湖があり、そのうち巣湖の面積は800平方キロメートルで、中国の五大淡水湖の一つである。重要な水利施設として淠史杭灌漑施設と長江の水を導入する駟馬山灌漑施設などがある。
生物資源
安徽省全域の営林用地面積は4.18万平方キロメートルで、安徽省全域の土地の12%を占める。植物の種類が豊かで、野生植物が3200余種、そのうち、木本植物が1300余種、草本植物が約2100種ある。動物は約500種もあるが、そのうち、国の重点保護指定を受けた動物は約54種となっている。ヨウスコウワニ、ヨウスコウイルカという貴重なものもある。
農業
安徽省は中国の重要な農業生産基地の一つであり、農業経済は全国で9位を占めている。穀物、食糧作物は米、小麦を主とし、豆類、トウモロコシ、コウリャン、サツマイモなどがこれに次いでいる。経済作物は主に綿花、アブラナの種子、タバコの葉、茶、カイコのまゆ、黄紅あさなどがある。
航空
安徽省の合肥、黄山、阜陽、蕪湖、安慶、蚌埠という六つの空港からは国内の29の大・中都市へのフライト便が飛んでいる。合肥と黄山の空港は香港への直行便ルートを切り開いた。