中華料理のメニューには、見慣れない漢字や難しい漢字が並んでいるせいか、日本人には一見すると難解に感じられる。しかし、中華料理の名前は一定の法則に基づいてつけられているため、それが分かればメニューを読むのは意外と簡単である。どの素材で、どのような調理がなされ、どのような形で仕上げられているかまで、メニューに記された数文字の漢字から読み取ることができる。
基本的なパターン
料理名の付け方はいくつかのパターンに分かれる。
- 主要材料を組み合わせたもの(材料+材料)
- 調理法と材料を組み合わせたもの(調理法+材料)
- 調味と材料を組み合わせたもの(調味+材料)-調味と調理法と材料を組み合わせたもの(調味+調理法+材料)
などである。
また、鍋などの調理器具をつけて名付けることもある。
主要材料の組み合わせ
材料+材料
その料理に使用されている主要材料を2種類程度挙げ、並べて書く。
どちらも調理法や味付けは記されてなく、単に材料を並べただけである。それでも見る人に分かるのは、1つはよく知られた料理名であること。材料の組み合わせを見れば、すぐにどのような料理か誰もが想像がつく。
もう1つは、調理法の省略。中華料理では「炒める」「煮る」などのよくある調理法は省略されることが多い。何が省かれたかは材料を見れば推測ができ、その結果どのような料理に仕上がるかも予想がつく。このような場合、材料と材料の組み合わせだけで表現される。
もっとも、青椒肉絲の「肉絲」は純粋に材料のみではない。「絲」は細切りの意味なので「肉絲」は細切りにした豚肉となる。つまり形状が加わっている。そのため、材料+材料+形状ともみることができるのだが、「細切りにした豚肉」と1つにくくって考えたほうが、料理名を付けるときも複雑にならずにすむ。魚片(魚の薄切り)、鶏丁(鶏肉のさいのめ切り)なども、このほうが覚えやすく、使いやすい。
調理法と材料の組み合わせ
調理法+材料
もっとも基本的な形である。この場合、必ず調理法が先で材料は後に書かれる。日本的にいえば、「魚の塩焼き」ではなく「焼き魚」、「たこの酢の物」ではなく「酢だこ」と書くようにである。
- 烤鴨(あひるのあぶり焼き)
- 烤(あぶり焼く/調理法)+鴨(かも/材料)
- 炸鶏腿(鶏のももの揚げもの)
- 炸(揚げる/調理法)+鶏腿(鶏のもも肉/材料)
この場合、別の材料が続けて書かれることもある。つまり、調理法+材料+材料である。
- 炒搾菜肉絲(ザーサイと豚肉の細切り炒め)
- 炒(炒める/調理法)+搾菜(ザーサイ/材料)+肉絲(細切り豚肉/材料)
なお、材料が2つある場合、調理法がその間に来ることもある。その場合、調理法より前に書かれた材料が強調されることになる。「白菓炒鶏丁」であれば白菓(ぎんなん)が、「搾菜炒肉絲」であれば搾菜(ザーサイ)が加えられたことが強調される。