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白酒 - 中国酒大全


白酒



白酒は、中国の蒸留酒で、「焼酒」あるいは「火酒」ともいわれる。現在の中国では、歴史の古い黄酒より白酒のほうが多く生産されており、中国で生産される酒類の中で、製品の種類は最も多い。
一般に無色透明で、酒精度(アルコール度)は高い。酒液が透明なので「白酒」と呼ばれ、長期熟成させるため、口当たりはまろやかである。甘く濃い強烈な芳香があり、飲み干してもなお香りが残る。世界三大蒸留酒の1つといわれ、世界の蒸留酒の中でも独特の風格をもっている。

白酒は全国的に多く生産されているが、高粱、黍、麦などの雑穀で造られるため、北方や南西地方が主産地である。

白酒の起源は宋代初期といわれるが、多く造られるようになったのは清代中頃からである。近年では酒精度の低い(低アルコール酒)ものの生産量が増えている。

酒の名称は原料名からとった高粱酒、包米酒や、麹の種類からとった大曲酒、麩曲酒などがある。また、産地名から汾酒、茅台酒と呼ぶものもある。

白酒は中国各地で造られているが、国土があまりにも広大なため気候も多種多様で、原料や麹、醸造工程の相違などもあり、一口に白酒といっても、味も香りも一様ではない。

代表的な白酒 anchor.png

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白酒の特徴 anchor.png

  1. 澱粉と糖分を多量に含んだ農産物を主原料にし、醸造・蒸留した30~40度以上の高酒精度酒である。
  2. 白酒は曲(麹)を糖化発酵剤とし、糖化と発酵を同時に進行させる復式発酵法を用いて造られる。
  3. 白酒は固体糖化発酵による固体蒸留の酒であるが、小曲酒の中には固体と液体とを半分ずつ使う製法もある。一般には原料を投入した後、数回の糖化発酵を経て蒸留した酒である。
  4. 白酒は特殊な蒸留器である甑(こしき)鍋を用いて間歇(かんけつ)蒸留した酒で、蒸留段階も異なり、酒精度と酒質もそれぞれ異なる。

以上が白酒の品質と風格を形成する基本的な共通点である。
白酒の醸造過程では普通、原料の澱粉が糖化してから酒精発酵するが、白酒の糖化剤を曲あるいは曲子、酒曲、糖化曲などと呼んでいる。曲は正式には麯と書き、白酒はその使い方によって大曲酒、小曲酒、麩曲酒、高温曲、酒糟曲などに大別される。

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原料 anchor.png

以前は、ほとんどが穀類(米、高粱、粟、黍、豆)であったが、現在では代用品の研究がすすみ、甘藷、馬鈴薯、菊芋、南瓜など、糖類を含むものはなんでも白酒の原料として用いられている。

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曲(麹) anchor.png

穀類を原料とする麹の大曲、小麦の麩を原料とする麹の麩曲、酒粕麹の酒糟曲、米粉と米糠に少量の薬料を混ぜて作る麹の小曲といった種類の曲(麹)がある。

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酒精度 anchor.png

20世紀の白酒の酒精度は50度以上であったが、嗜好の変化や海上輸送上の制限などから、1990年代から白酒のアルコール濃度を下げたものが広がってきて、今では低度酒と呼ばれる38度の白酒が主流となっている。50度以上であった高度酒も、現在は45度のものが出ている。

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白酒の製法 anchor.png

白酒の製法は、産地によって異なる。原料とする穀物に何を用いるかと、麹(こうじ)を何からどう造るかなどによる。典型的な製法は以下の通り。

  1. まず麹を造る。大麦や小麦、エンドウなどを砕いたものに水を入れて混ぜ、レンガの形に整え暖かい部屋に放置して、クモノスカビや酵母、乳酸菌などを繁殖させ、“麯”(チュー、qū。簡体字では“曲”と書く。“麹”の異体字)と呼ばれる餅麹(もちこうじ)を造る。
  2. 蒸した高粱(蜀黍)に麯を混ぜ、地面に掘った「発酵窖」と呼ばれる穴の中に入れて土をかぶせ、土の中で発酵させる(仕込む)。麯のような餅麹は、日本酒の製造に用いるコウジカビが純粋培養された撒麹(ばらこうじ)と異なり、糖化だけでなくアルコール発酵を行う微生物も含んでいる。また、発酵窖には酵母などの有益な微生物が多数繁殖している(特に、長い年月を経た発酵窖(老窖)は珍重される)。したがって、このままの固体の状体のままでアルコールを含んだもろみとなる。
  3. 数週間後に仕込んだ材料を堀り出し、蒸気を通しやすくする籾殻や落花生の殻を混ぜて蒸留する。これと同時に、材料の高粱も同じ甑で蒸される。
  4. 蒸留し終えた原料に再び麯を混ぜ、仕込みを数回繰り返す。
  5. 蒸留によって集められた液体は、瓶に入れられて長期間熟成される。

こうして造られた白酒は酒精度が50%以上あって強い事等が特徴的である。

なお、蒸留後の粕は豚の飼料となり、豚の糞尿は原料の穀物を育てる肥料となる。このような循環は、小泉武夫によって指摘されたことから『固体発酵における小泉の循環説』と呼ばれ、固体発酵という発酵法の根拠の説明として知られている。

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白酒の分類 anchor.png

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大曲酒 anchor.png

大曲酒は、大曲を糖化発酵剤として醸造して酒醅(もろみ酒=どぶろく)をつくり、それを蒸留した酒のことである。
大曲は大麦、小麦、えんどう豆などを原料にし、微生物の自然繁殖を利用してつくる麹カビで、餅状またはレンガ状をしているのが特徴である。培養中に原料や水、空気、工具などから自然に入り込んだ各種の微生物と、主要な麹カビや酵母菌などが微妙に影響しあい、大曲酒の馥郁とした曲香と甘くまろやかな口当たりをつくり出すといわれている。
酒醅は発酵した原料のことで、香醅とも呼ばれている。

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小曲酒 anchor.png

小曲酒は、小曲を糖化発酵剤として醸造して酒醅をつくり、それを蒸留した酒のことである。小曲は大曲にくらべると麹カビの形はやや小さい。各地の小曲は方形、円形、球形と、形や大きさがそれぞれちがうが、つくるときに各種の薬材をくわえるため、別名を薬曲ともいう。小曲の主な原料は、米、小麦、米ぬかなどで、薬材は副原料である。この薬材は種類がたくさんあり、四川省邛峡の薬曲は72種類もあるといわれる。

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麩曲酒 anchor.png

麩曲酒は、麩曲を糖化発酵剤とするだけでなく、さらに酵母をくわえて醸した酒で、ふすまを原料にして人工培養した麹カビであるため、麩曲と呼ばれている。しかし純粋培養のために菌種が単純すぎ、大曲酒の馥郁とした香にはとても及ばない。近年、菌種を増やした麩曲に香りを生じる酵母をくわえて発酵させる麩曲酒が現れ、若干風味が良くなっている。

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高温曲 anchor.png

高温曲と中温曲は、大曲の培養過程中に温度の抑制の高低を分けて造る。
高温曲は最高温度を摂氏60度から65度前後、中温曲は50度から60度前後、低温曲は40から50度前後に抑える。高温制曲は、醸造に不利な糖化発酵をする微生物を淘汰して不良な代謝物を減少させ、有益な微生物を高温に慣れさせることによって醸造した酒を純粋清浄にし、雑味を少なくするという利点がある。

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酒糟曲 anchor.png

これは酒糟を原料にして糖化発酵剤を造るため、酒造工場で自給自足できるという利点があるが、酒糟だけが原料ではなく、一定の比率でふすまを配入して培養する。酒糟の長所をうまく利用し、短所を排除して培養方法を完成させたが、酒糟の配入比は40%から50%が適当で、多過ぎるとよくない。比率を間違えると、麹カビがうまく成長せずに糖化力が下がり出酒率が低くなる。
白酒の麹には、ほかに繊維素カビを用いた繊曲、カビを液体培養基に入れ、風通しをよくして培養する液体曲などがある。

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香りによる分類 anchor.png

白酒にはそれぞれ独自の生産方法があり、原料や曲の組織成分が複雑なため香りや味も多種多様で、いずれもはっきりした独特の風格をもっている。中国では、白酒独特の香り(カプロン酸エチルを主体とするエステル香)の高い酒が好まれており、香りと味の種類によって香型(シャンシン)という分類がなされる。

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醤香タイプ anchor.png

醤香の風味がきわだっており幽雅細致、つまり香りは絶えることなく、芳しくても猛々しくなく、また低くても淡くないという香りで、味はやわらかく、酒質はまろやか、後味がいつまでものこり、ほんの少しこげた匂いがする。長いあいだ杯に入れておいても香りが尽きず、飲んだあとでも杯に余香があるのが特徴である。
このタイプの白酒は茅台酒によって代表されるところから、茅香ともいわれている。

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清香タイプ anchor.png

風味は清香純正、いろいろな味がうまく調和しており、まろやかなだけではなく、やわらかく後味がさわやかである。
このタイプの白酒は、山西省杏花村の汾酒に代表されるため、汾香タイプともいわれている。

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濃香タイプ anchor.png

熟成させる窖の独特な匂いが芳しく、濃く香り、甘くやわらかな味がよく調和し、後味がすっきりしており、飲んだあとも香りが残るのが特徴である。中国では、濃香タイプの特徴を、香(香り)、甜(うま味)、濃(濃さ)、浄(清浄さ)の4つか、あるいは香、醇(まろやかさ)、濃、綿(味の持続)、浄の5つで表現している。
このタイプの酒は、爐州老窖大曲酒によって代表されるところから、濾香ともいわれている。

以上の3つのタイプが大曲酒の風格であるが、すべてが同じというのではなく、あくまでも総体的な説である。同じタイプに属している白酒といっても、なかには独特の香韻や風味をもっている酒もある。例えば五粮液、濾州老窖特曲酒、古井貢酒は同じ濃香タイプの白酒に入れられていても、香りの風味にはっきりした違いがある。それぞれの酒の微妙な違いは言葉や文字では表せないため、飲む人が個々に舌で感じとるしかない。

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米香タイプ anchor.png

小曲酒のタイプには米香タイプがある。甘い香りが上品で清々しく、口に入れると甘く、やわらかな後味がゆっくりひろがる。この酒は小曲を糖化発酵剤にしているため、人を楽しませる親しみやすい香り(薬香)がするのが特徴である。このタイプの酒の甘い香りは、米を醸した香りで、慣習から蜜香と呼ばれている。

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その他のタイプ anchor.png

これは、上記のどのタイプにも属さない、はっきりした独特の風格をもった白酒のことで、董酒のように大曲酒と小曲酒の両方の風格をそなえている酒などをいう。

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兼香タイプ anchor.png

  • 董酒(貴州省遵義市)
  • 白雲辺(湖北省松滋市)
  • 白沙液(湖南省長沙市)
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馥郁香タイプ anchor.png

上記のように、できあがった酒の品質、風格が、白酒ほどはっきり表れる酒は他にない。それだけに優良酒にも選ばれていない地方の1つ1つの酒にも、それぞれ独特の風格があり、世界の蒸留酒のなかでも、白酒はきわめて稀な存在となっているのである。

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白酒の八大銘酒 anchor.png

  1. 五粮液
  2. 剣南春
  3. 洋河大曲
  4. 瀘州老窖特曲
  5. 郎酒
  6. 茅台酒
  7. 西鳳酒
  8. 汾酒

しばしば中国では、五穀すなわち高粱・玉米(トウモロコシ)・小米(粳米)・糯米・小麦から作られた五粮液(ウーリャンイェー、Wǔliángyè)が最高の白酒といわれる。そのため、偽物も出まわっている。

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飲み方 anchor.png

日本ではストレートで飲むことが多いが、オンザロックでもよい。酒精度が高いので、チェイサー(口直し用の水)をいっしょに飲んだほうがよい。




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