
全州湘山酒は、広西チワン族自治区桂林市全州県産の白酒で、酒精度は58度。
全州県は湘江にのぞみ、街の北で万湘河、広西河、灌江の三つが合流しているため河の流れが入り乱れ、舟の舵をとるのも布を織るように目まぐるしい。
江岸には古い湘山寺があり、山内には宝塔が高くそびえ、山頂と塔の影が湘水の清流に映って一幅の絵のような風景である。
昔から全州は有名な観光地であり、湘江や湘山に遊んだ人々が全州の美酒を味わい、その酔い心地を忘れかねて世に広めたため、湘山酒として知られていた。
湘山酒は米香タイプの小曲酒だが、薬曲酒にある薬香はない。1979年には全国優良酒に選ばれている。
湘山酒は湘江の水を使って粳米を原料に、全州名産の薬曲から分離した微生物と福建省厦門(アモイ)の白曲(純粋な根カビ)、さらに米酒酵母をくわえて人工培養した独特の酒曲を使い、前半を固体糖化で24時間、後半を液体発酵で約6日間、半固体半液体糖化発酵法をいう方法で造り、一回の蒸留で酒をとる。貯蔵期間は6か月と短い。